チェスト?ヘッド?ミックス?ミドル?「なんとかボイス」の違いと練習方法を解説

 

ボイストレーニングの記事を検索すると
「なんとかボイス」という名前が多すぎて
混乱したことがある人は多いと思います。

少し聞いただけでは
区別がつかない言葉ですよね。

そこでこの記事では「なんとかボイス」の中でも
特によく検索されていて、(しかも混同されやすい)
チェストボイス、ヘッドボイス、ミドルボイス、ミックスボイス
4つについて解説していきます。

実は冷静に見比べるとそこまで難しい用語ではないので
きちんと整理して覚えるだけでも理解度が高まるはずです。

では、行ってみましょう!

 

ミックスボイスは、いろんな声を混ぜたもの


歌が上手な人は、低音域から高音域まで

同じような声で歌っているような印象を受けます。

小田和正さんやスピッツの草野マサムネさんなど

地声と裏声の境が無いような感じがしますよね。

実は音域によって3つの声を使い分けているんです。

その3つの声はそれぞれ
「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ミドルボイス」
と呼ばれています。

これらをなめらかにつなげることで、
まるで1本につながったような声で歌えるようになります。

この1本につながったような声が「ミックスボイス」です。
様々な声を混ぜた(ミックス)した声です。
なので、ミックスボイスは声そのものというよりは、
概念として覚えた方が良いかもしれません。

それでは、それぞれどのような特徴があるのか
解説していきたいと思います!

 

チェストボイス、ヘッドボイス、ミドルボイスの違い

1.チェストボイス

チェストボイスは、簡単に言うと「胸に響いているような地声」です。
イメージとしては、NHKの歌のお兄さんのような爽やかでふくよかな声です。
いわゆる”イケボ(イケメンボイス)”は
チェストボイスで表現されることが多いです。

実は、”話声の時の地声”と”歌う時の地声”は別物で、

「どれだけ多くの喉の筋肉を使用しているか」に違いがあります。

話声の時はほんの一部の筋肉しか使わないため、
声に響きが出ず、場合によってはキンキンした声になりがちです。
(日本人は外国に行くと「日本人の喉締め声」と揶揄されるほど
キンキンした声質の人が多いらしいです。)

それに対して、歌声に使える地声は「チェストボイス」と呼ばれ、
美しい音色で良く響くという特徴があります。

基本的には低音域で使用する声なので、
チェストボイスのまま中音域以上に上がって行くのは難しいです。

しかしきちんと発声することが出来ていれば
中音域以上へスムーズに繋がりやすくなりますので、
ミックスボイスで歌えるために最初に習得すべき重要な声となります。

 

2.ヘッドボイス

ヘッドボイスは簡単に言うと、「芯のある裏声」です。
イメージで言うと、フクロウの鳴き声や、スーパーマリオの声などです。
主に高音域で使われます。

息漏れが少ないと芯があるように感じ、多いと芯がない印象になります。
芯のない裏声がファルセットです。

ヘッドボイスは息漏れが少ないのでパワーを感じ
ロックなどの迫力ある高音が出せるようになります。

ヘッドボイスが出来るようになると
本当に高い所まで強い声で歌えるようになるので、
歌の表現力が広がり様々なジャンルの曲を歌いこなせるようになります。

 

3.ミドルボイス

ミドルボイスは、「地声と裏声の中間(middle)の声」です。

実は字のまんまの意味なんです。

千と千尋の神隠しのカエルの声や、ジャパネット高田の初代社長のような声です。
・・・喋り声としてはちょっと変な声ですね。

これが歌声になるとガラッと印象が変わります。
高音なのにハッキリと綺麗に聴こえます

地声で高音を出そうとすると首を絞められたニワトリのような
緊迫した声になってしまい聴いていられないのですが
ミドルボイスは苦しい印象がないので
聴いている方も安心して聴いていられます

有名なアーティストたちは軽々と高音を出しているように感じるのは
地声ではなくミドルボイスをしっかり使えているからです。

「地声のようだけどクリアな高い声」は
全てミドルボイスと認識していただいて良いかと思います。

ミドルボイスは主に中音域で使用し、
チェストボイスとヘッドボイスの橋渡しをする役割を担っています。

3つの声をスムーズにつないでいくには、

チェストとヘッドの間にあるミドルボイスの開発が
超重要なことは言うまでもありません。

しかしご想像どおりミドルボイスの習得が最も難しく、

1日2日で習得できるようなものではありません。

以下では各発声法を習得するための方法を
順序立てて紹介しています。
ぜひ実践してみてください。

 

各「なんとかボイス」習得のための練習方法

ここからは今回紹介した4つの発声法について
具体的な練習方法を紹介していきます。

なお、練習時間は多くても2時間以内に留めて、
練習中は水分補給をしっかりして
充分な休息を取るようにしてください。

また、練習中に喉を痛みを感じた場合は
すぐに練習を中断してください。

喉がいつも枯れてしまうようなら
発声方法が適していない可能性が高いので
腹式呼吸を始めとした基礎練習を徹底しましょう。

※充分な休息を取っても喉を痛みが消えない場合は
医師の診断を受けるようにしてください。

チェストボイスの練習方法

1.胸に手を当てる

2.予定を急に思い出した時の感じでびっくりする

3.びっくりして胸が上がることを確認する

4.胸が上がった状態をキープしながら「ハッハッハ!」と爽やかに笑う

5.この時声の方向は胸の方に飛ばしていくイメージでやると良い

6.いつもより太い声が出たなと思ったら成功

7.その声で歌う練習をする(楽に出る低い音域で)

 

ヘッドボイスの練習方法


1.
”花の匂いを嗅ぐ”イメージで鼻から息を深く吸い込む

2.この時、目の後ろに冷たい空気を入れる感じだと良い

3.息を吸い込んでいる時に頭が頭部後方へ引っ張られているような感覚になることを確認する

4.頭部後方へ引っ張られている感じを保ちながら「ホー!」と裏声を出す

5.裏声に息漏れが感じなくなるまで練習する

6.その声で歌う練習をする

 

ミドルボイスの練習方法

1.声を鼻にかける(千と千尋のカエルや、浜崎あゆみ、倖田來未の話声のような声を作る)

2.その声で「んがんがんがんが・・・」と発声し、喉の奥で声が鳴っている感じを確かめる

3.その声であらゆる音域で歌って練習する

 

ミックスボイスの練習方法


ミックスボイスは、上で紹介した各発声方法を練習しながら
あわせて練習していくようにしましょう。

1. ハミング(口を閉じての発声)で低音域から高音域を
ゆっくり途切れないように出していく。

2. 途中で裏声にひっくり返ってしまったり、
極端に声が切り替わる音が鳴ってしまったりしないように、
それが無くなるまで練習していく。

地声と裏声が切り替わるポイント(喚声点)の周辺が

特に難しいので入念に繰り返して
スムーズに切り替えられるようにしていきましょう。

3. 低音域から高音域に移行するパターンと、
高音域から低音域に移行するパターン両方を出来るように練習し、
出来たら往復する練習までやってみましょう。

4. それも出来たら口を開いて
「あ、い、う、え、お」の音でやってみます。


綺麗に声が繋がるようになれば、

ミックスボイスを使いこなせるようになっています。
実際に歌を歌っても綺麗に繋がるかやってみましょう。

もし、中々出来ない人は
3つの声のどれかの練習が足りていない可能性が高いです。
定期的に見直してみましょう!

まとめ

・・・ボイトレって奥が深いと思いませんか?

複雑に感じたかもしれませんが
1つ1つ丁寧に練習を重ねていけば
曲の雰囲気にあわせた様々な表現ができるようになります。

最終的にミックスボイスで歌えるようになれば、
難しかった高音もかなり楽に歌えますし、
音域も大きく広げられるようになります。
何より聴いている人が最も心地よく聴けるようになります。

なので、諦めずにしっかり練習して、
お友達や家族をびっくりさせましょう!

 


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